英語多読法 やさしい本で始めれば使える英語は必ず身につく! 古川昭夫 小学館101新書 2010年
英会話学校に通わなくても、挫折することなく学習を続け、高い英語力を身に付けることは可能。その鍵となるのが、多読という方法だ。本書は、多読の意義から、予備校SEGでの実践法まで解説する、多読への入り口となる本。
非常に丁寧に、多読について幅広く述べている。多読賛成派の主張、反対派の主張をバランス良く取り上げ、理想的な多読指導法を探る姿勢は良い。勉強法や指導法は、ともすると理念や理想が先行してしまうものだ。なぜ、その方法が良いのか、問題はないのか、欠点をどのようにして克服するか、といった観点が置き去りになってしまいがちだ。それに対して、本書は文法・語彙の重要性を随所で指摘していて、とことん量をこなしていくのみという、多読の一般的なイメージを見事に覆すとともに、批判への真摯な回答も提示している。
また、そもそも、英語の読書を苦痛ではなく楽しみとすることが何よりも効果を発揮すると述べているのもポイント。「苦労して辞書を引いてこそ、英語力が身に付く」といった哲学を持った先生の下で学び、英語が嫌になってしまった人にとっては、目から鱗の朗報だ。
巻末では、多読に関する入門書やウェブサイトも紹介されていて、これまでの蓄積を大いに活用していこうという意気込みが感じられる。塾の経営者の著作ながら、塾の宣伝に終始していない点も、好感が持てる。英語を勉強したい人はもちろん、英語教育に携わっている人にも一読の価値あり。
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