忍者ブログ
# [PR]
2024/04/29 20:57
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


CATEGORY [ ]
pagetop
# 『全盲の弁護士 竹下義樹』
2020/01/04 14:21
全盲の弁護士 竹下義樹 小林照幸 岩波現代文庫 2019年



中学生の時に視力を失い、その後日本初の全盲の弁護士として活躍している竹下義樹氏。大学受験に挑戦し、大学在学時に法務省に請願して司法試験の点字受験を実現させるまでは、死闘とも言える日々を過ごした。9回目の受験で合格率2%未満の難関を突破して弁護士となった後は、弱者の声を拾って法廷に届けるという信念を貫き、多忙な生活を送っている。そんな彼の人生を記録したのが本書だ。単行本の刊行からおよそ15年の日が経過したのを受けて、文庫版のあとがきでは平成後半から令和にかけての活躍ぶりも書かれている。

読んでいて、圧巻とはこのようなことを言うのかと思った。竹下氏の幼少期から始まり、全盲となった当時の様子、大学受験、司法試験受験、司法修習生としての日々、弁護士として活躍など、苦難の中にも支えになってくれる人を得ながら困難を乗り越えていく姿が鮮やかに書かれていて、読み始めるとページをめくる手が止まらない。

特に社会保障をめぐる訴訟では、竹下氏が弁護団を率いて社会史に残る画期的な判例を残していった事件が多い。時に依頼者は、他の弁護士では無理だと言われた案件を藁にも縋る思いで依頼してくることもある。画期的な判例の背景には、竹下氏が依頼者の言葉にじっと耳を傾け、自分が何とかしなければという責任感に燃え、依頼を引き受けていったという姿があった。社会保障をめぐって自治体を相手取った裁判や、暴力団の組長に使用者責任を問う裁判は、一読者としても手に汗握るしびれるような展開である。
PR

CATEGORY [ 障害 ] COMMENT [ 0 ]
pagetop
<<『英語バカのすすめ 私はこうして英語を学んだ』 | HOME | 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』>>
コメント
コメント投稿














pagetop
FRONT| HOME |NEXT

忍者ブログ [PR]