不惑の楽々英語術 浦出善文 集英社新書 2006年
英語ができないからといって、怖気づく必要はない。また、英語を勉強をするにしても、苦痛を味わいながら勉強することなど、まったくもって無用。自分にとって必要なことを、必要なだけ、少しずつ身に付けていけば良い。そして、自分の英語が通じるという快体験をたくさん積むことが何よりも大切。これが、本書の内容全てに共通するテーマである。
現在の英語教育に足りない、非常に重要な視点を提供してくれる良書である。学習する意義が実感できない内容を漠然とこなし、英語と奮闘している中高生、大学生、社会人にとっては、肩の荷が下りたような気持ちにさせてくれるメッセージに溢れている。もちろん、教育者にとっては、自らの教育を省みる機会を与えることになろう。
本書のポイントは、2つある。1つ目は、以上で述べたような、学習の姿勢に関するアドバイス。そして2つ目は、勉強の方法である。特に、辞書やインターネットの使い方に関する助言は、非常に優れていて参考になる。例えば、インターネットの検索サイトを利用して、コロケーションを確認するなど。インターネットや電子辞書などの文明の利器を批判する教育者は多い。しかし、筆者は使えるものは上手に利用していけばよいという立場で、好感が持てる。
もちろん、いざ英語を勉強しようとすると、一筋縄ではいかない。しかし、筆者が指摘している点を頭に入れるだけで、随分と英語学習に対する構えが変わる。聞き取れないのは、実は相手の話し方が問題なのかもしれないし、話の内容がわからないのは、英語の問題ではなく、英語以前の知識の問題かもしれない。そんな筆者の意見を聞くと、今まで英語ができないと思い苦しんできた重苦しい空気から、ちょっとだけ解放された気になる。
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