Harry Potter and the Philosopher's Stone J.K. Rowling, Bloomsbury, 1997
ついに映画も最終章へと突入したHarry Potterシリーズの第1作目。幼い頃に両親を亡くし、親戚の家で育てられたHarryが、実は魔法使いの才を持っていたと明かされ、11歳を迎える時、魔法学校Hogwartsに入学する。そこに至るまでの過程と、魔法学校での1年目が描かれる。
なるほど、多くの子ども、そして大人までもが夢中になっていくのがよくわかる。次々と読み進めたくなる構成の中に、色々な要素が散りばめられている。虐げられてきた少年の苦悩と、自分を束縛してきた環境から自由になる高揚感、駅のホームに突如出現する9 3/4という謎のプラットホーム、夜の学校の探険、ほうき乗りの才能の開花、隠れて秘密のペットを飼う緊張感、敵との戦い… 主人公が出会うこれらの経験は、子どもにとっては、憧れまたはリアルな体験であり、大人にとっては、自分の過去の似たような経験を想起させたり、そんな子ども時代を過ごせていたらなと思わせるものだ。
使われている英語は決して易しいとは言えない。しかし、読者を物語の中に引き込んでいく力が強いので、何とか読んでみようという気にさせられる英語学習者も多いのではないだろうか。表紙以外には絵が1ページもない本格的な児童書にもかかわらず、多くの人々を魅了し続けているのだから。
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