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2009/11/06 20:50
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語り得ぬもの:村上春樹の女性表象 渡辺みえこ 御茶の水書房 2009年 村上春樹の2作品、『ノルウェイの森』『スプートニクの恋人』には、それぞれレズビアンの女性が登場する。本書は、その2作品の発表された時代の思想についても言及しつつ、社会において暗黙の下で抹殺されてきた女性の性やレズビアンという視点で、作品を分析する。 現代のみを知っているだけでは、文学作品の女性表象を深く理解することはできないと強く感じさせる内容。筆者は、古来からの女性差別、70年代、80年代のフェミニズム運動の動きも述べたうえで、村上春樹の2作品におけるレズビアンの描写を分析していく。 特に興味深いのが、かつて女性の同性愛は最も禁忌するものとみなされ、徹底的に弾圧されてきたという点である。そのような出来事は、実際の事件だけでなく、文学作品にも描かれている。筆者は、豊富な事例を提供しつつ、論を展開する。 また、女性が性の喜びを享受するということに対する、男性中心社会からの抑圧という視点も考えさせられる。筆者は、ブライダル・シーツなど、処女性の神聖視や、それを示すことを強制され、恐怖に怯える女性について、歴史的な資料や文学作品から分析する。 さて、現在はレズビアンに対する見方がどうなっているのであろうか?現在、ポルノグラフィにおいて、レズビアンが一分野を確立していると言えるかもしれない。また、今年の10月からアニメが放送されている『ささめきこと』は、女性の同性愛を扱った物語である。さらに、一迅社の『コミック百合姫』など、女性同士の恋愛を扱った作品のみを掲載する漫画雑誌も登場している。しかし、これらは、どれも男性の視点を抜きにして語ることができない。なぜなら、ポルノグラフィはもちろんのこと、これらの漫画も、(少なくとも形式的には)男性向けに発行されているものだからである。筆者の言うように、女性によって語られる女性の同性愛というものが、もっとポピュラーになっても良いように思う。もっとも、私が女性向けの漫画の世界をあまり知らないというのはあるが。女性については、逆にBLという視点も、検討の余地があろう。 PR |
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