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# 『日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価』
2014/10/30 20:59
日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価 杉浦大介 ベスト新書 2014年



1990年代中盤に野茂英雄が開拓したメジャーリーグという道に、多くの日本人投手が挑戦し、成功と挫折の道を歩んできた。野茂のデビューから20年近くの時が過ぎ去ろうとしている今、改めて日本人投手がメジャーリーグでどう評価されているのかについて、選手やスカウト、記者などへの取材を基に考察を試みた本。

日本人がメジャー挑戦を試みるのは決して珍しいことではなくなった昨今ではあるが、それでもしっかりとメジャーの歴史に残ったりファンの記憶に残るような活躍をした投手となると、果たしてどのくらいいるのだろうか。また、現地での評価はどのようになっているのか。通の間では何ら不思議はないのかもしれないが、現在のところ野茂と黒田の評価がかなり高いらしい。そこから見えてくるメジャーで成功する秘訣とは、ずばり先発ならローテーションを守り抜き、平均以上の働きを何年にもわたって続けることである。そのために、投球の方法やメジャーの環境への適応を工夫していくことが大切なようである。だから、けがの多いダルビッシュは可能性を秘めていながらもまだ日本人メジャー最高の投手とは言えないらしい。

様々な人々のインタビューが紹介されるが、やはり印象に残ったのは、野茂の評価が非常に高いということである。野茂がメジャーデビューして20年という月日が経過しようとしているが、前例のない大舞台挑戦、2度のノーヒットノーラン達成など、彼の活躍した足跡は未だに多くのメジャーリーグファンの心に残っている。

また、近年よく言われる、日本人投手が若い頃から投げすぎで肩を酷使していないかという指摘に対する考察も興味深い。私自身、勝利を追求するあまりに1人の投手に頼り、短い期間に何百球という投球をさせる文化には幾分疑問を持っている。しかし、筆者の分析やインタビューの結果によると、投げ込みもより無駄のない洗練されたフォームを定着させるのに一役買っているという面もあるそうだ。また、どんなに球数制限をしたところで、現在けがが減っているわけではないらしい。近々日本の良いところも認めていく動きが出てきそうであるという見方には驚きだ。

ワールドシリーズも終わった今、書籍でメジャーリーグに触れるのには絶好の機会であるように思う。一般的にメディアで語られていることだけでなく、少し踏み込んだ話が詰まったものとして、本書をお薦めしたい。
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