数学はインドのロープ魔術を解く 楽しさ本位の数学世界ガイド デイヴィッド・アチソン 伊藤文英
訳 ハヤカワ文庫 2004年
2000年以上前から存在し、中学生が学習する三平方の定理から、ケプラーの惑星運動に関する法則、カオス、現代の技術への応用まで、様々な数学のトピックについて、面白いところに絞って紹介する本。三平方の定理の証明法など忘れていた私は、鮮やかな証明に「なるほど」と思ってしまった。
日常生活への応用例も興味深い。例えば、缶詰の中身の量を変えず、缶の表面積を最大にする(すなわち、缶の資源を最も節約できる)ようにするには、どうすれば良いのかという問題がある。そうか、関数の最大値・最小値という問題も、このように示されれば、現実味を帯びるのだなと、大きな感動を覚えた(ちなみに答えは、「底面の直径と缶の高さを等しくする」)。
内容は高度であっても、絵や図が豊富で、楽しく読める。説明に必要な証明過程が適宜取捨選択されているので、スピード感を持って読むことができる。さらに興味を持った読者用の読書案内も充実していて、世界を広げられるようになっている。
数学は苦手ではなかったが好きではなかったという人に特にお薦めできる、目から鱗の数学再入門本。
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