"My Father's Dragon" Ruth Stiles Gannett 講談社英語文庫 2000
物語の語り手の父親であるエルマーは、捨て猫に出会ったことをきっかけに、不思議な冒険に旅立つ。ジャングルでの探検、最後に訪れる竜との出会いなど、少年エルマーの冒険を描いた名作。
子どもの頃1回読んだだけの本など、内容をすっかり忘れているものであると実感した。本書のタイトルは、
My Father's Dragon。なぜ、父親が登場するのか。それはこの本の語り手が、エルマーの子どもだからなのである。いやはや、そんな重大なことを忘れていたのか。
機知に富んだエルマーの行動と、それにはまっていく動物達の滑稽な姿が、面白い。2回目の読書では、地図を見ながらエルマーの行動を追ってみたり、随所で書かれているみかんの個数を足し算・引き算しながら読んだりする楽しみ方もあろう。
原文を読む楽しさを再確認できる本である。動物達の口調は、それぞれが特徴を持っている。片方の猪の理屈っぽい喋り方、鼠の言い間違い方などに触れると、英語読書の醍醐味を実感できる。
なお、児童書ではあるが、高校生でも苦労するだろうなというレベルの英語で書かれている。特に、英語の教科書や受験ではめったにお目にかかれない単語がやっかいだ。「ライオンのたてがみ」「サイの角」… これらの単語がすぐに浮かぶ人は、結構英語に慣れた人であろう。
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