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# 『世界は日本サッカーをどう報じたか「日本がサッカーの国になった日」』
2010/12/01 16:36
世界は日本サッカーをどう報じたか「日本がサッカーの国になった日」 木崎伸也 ベスト新書 2010年



2010年のワールドカップ南アフリカ大会で、日本は大方の予想に反して決勝トーナメント進出を決めた。カメルーン、オランダ、デンマーク、パラグアイとの戦い振りを、サッカー先進国のメディアはどう報じたのだろうか。ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、ブラジルなどの国々の実況中継の様子、現地の新聞の報道に注目することで、世界から見た日本サッカーの姿を描き出し、今後の日本サッカーのあるべき方向を模索する。

野球とは異なり、サッカーには個人を評価する数値が非常に乏しい。野球の場合、打率、出塁率、ホームラン数、打点、エラーなど、個人を評価する材料が多くある。しかし、これらの数値は完全に本人の実力によると言い切れるわけではなく、偶然も影響する。また、どの数値にこだわり、どんな選手を評価するかは、人によってまちまちだ。ましてや、個人を評価する数字がほとんどないサッカーにおいては、選手・チームの評価は難しい。本書で紹介されている世界のメディアの報道振りを見ても、そのことを痛感せざるを得ない。だが、だからこそ、世界のメディアで日本のサッカーがどう報道されていたかを知ることで、新たな視点で日本サッカーについて語ることができるという利点もある。

サッカー先進国の実況者は、日本の場合とは異なり、サッカーの実況に特化した専門家である。それゆえに、各自の視点で試合の状況を語り、素晴らしいプレイを褒め、悪いと思う部分は徹底的に貶す。また、もちろんのこと喋りのプロでもある彼らは、絶妙な比喩を用いるなど、表現も多彩だ。そんなことが、本書の内容から伝わってくる。

世界の報道の様子を見て筆者が指摘するのは、日本は恐れずに攻撃に出るべきだということである。規律を守った守備が世界に通用することは証明できたかもしれないにしても、攻撃的に出て観客を沸かせることができなくては、一流ではないと言うのだ。自身のサッカー哲学をどう持つのかが、今後の日本の課題なのかもしれない。

筆者が最終的に出した結論には、多少肩透かしをくらってしまうかもしれない。何しろ、周りの目を気にせず、堂々と戦えというのだから。

ヨーロッパのメディアでは、試合ごとに出場選手に点数を付けて評価する習慣がある。日本が戦った4試合についてのメディアの評価が掲載されていて、興味深い。

本書は、誤植と、自動詞・他動詞の使い方にミスが多くある点が問題だと思う。筆者によると、本書は諸事情から非常に短い時間で仕上げる必要があったらしい。それでも、ミスは最小に抑えるべきであろう。
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