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# 『女子高生アイドルは、なぜ東大生に知力で勝てたのか?』
2016/09/03 22:52
女子高生アイドルは、なぜ東大生に知力で勝てたのか? 村松秀 講談社現代新書 2016年



NHKのゆるい科学番組「すイエんサー」は、アイドル・女優の女子中高生から成る「すイエんサーガールズ」に、日常のふとした疑問を解決してもらうという番組である。収録時間に制限はなく、台本もない、徹底的に考え抜いてもらうことを大事にした構成になっている。そんな番組でいつの間にか名物となったのが、難関大学の学生とすイエんサーガールズが知力を競い合うガチンコバトル、「知力の格闘技!」である。紙で作った橋の強度や、紙で作ったタワーの高さを競い合うといった勝負で、すイエんサーガールズは東大や京大といった国内最高学府の学生に勝利するという大番狂わせを演じてきた。本書は、これまで「すイエんサー」で扱ってきた問題を振り返りながら、知力とは何かという問いに迫るのものである。

「すイエんサー」で扱う問題の多くは、時にどうでもよいと言いたくなるが、しかし気になる問題である。例えば、「バースデー・ケーキのろうそくの火をひと吹きで消すにはどうすればよいか」や、「どうして足の小指をよくぶつけるのか」などだ。このような問いにも科学的な答えはあるもので、すイエんサーガールズは毎週必死でその答えに向かって頭を働かせるのだ。筆者は、それを「グルグル思考」と定義し、物事を柔軟に考える秘訣だと言う。

難関大学の学生との対決を見るにしかり。その思考力は確実に力を発揮する。すイエんサーガールズが東大や京大の学生相手の勝負に勝っていく姿はなかなか爽快であり、彼女らの柔軟でかつ優れた思考に驚かされるばかりである。ここから筆者は、たった1つの答えを求めたり、知識を覚えさせるだけに偏りがちな現代の教育の問題点にも言及していく。

もちろん、これらの勝負の結果を受けて、難関大学の教育が間違っていると言うことはできないであろう。ただ、組織の中に多様な思考があった方が、組織としてプラスなことが多いのではということは思った。すイエんサーガールズが大切にしているのは、とにかく手を動かして思考錯誤を繰り返すということ。つい理論面だけで動こうとしてしまう難関大生のやり方とは対照的である。きっと、両者の思考がうまく融合した先に、独創的で希望に満ちた知性があるのではないかと思う。
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