受験必要論 人生の基礎は受験で作り得る 林修 集英社文庫 2015年
今や大変な有名人となり、テレビにも出ずっぱりの東進の林先生が語る受験論。受験を人生に必要な経験を得るためには絶好の機会と捉え、受験の話題を中心に教育に関して縦横無尽に語る構成は、もはや受験という領域を超えた林流教育書とも言える。
受検1か月前に必ず語るという受験生へのメッセージなど、受験から学べることはたくさんあるという意見はもちろんのこと参考になるが、本書は案外それ以外のやや脱線した話にこそ、林先生の思想や生き様が詰まっていて面白い。友達が多いかと聞かれて、そもそも友達は必要かと返すやり取りなど、血の通った林修という人物がよく見えてくる。
受験がテーマでありながらも、勉強だけでない様々な分野の大学があって良いという意見や、東大に飛び入学を導入すべきという意見など、教育全体に対する問題提起も見逃せない。また、エリート校を通過して、現在エリート達を教育しているからこその東大賛辞、東大批判は、なるほどと思わされる。受験論という枠には収まりきらない教育書である。
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