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# 『推定少女』
2016/08/08 17:06
推定少女 桜庭一樹 角川文庫 2008年



大人であれば誰もが持っていた、思春期の感情。大人への反感や、自分が生きる社会への不満と不安を持ち、身近な友人関係にも気を遣って生きる。そんな時期の気持ちをふと思い出したくなる時に読むのが、この本である。

主人公の巣籠カナは北関東に暮らし、高校受験を控えて胸の内に将来への不安を抱えながらも日々を漫然と過ごしていた。ところが、突如父親殺しの疑いがかけられたと思ったカナは、家を出て逃走する。その途中で出会った謎の少女、白雪とともに秋葉原に逃亡し、謎の追手から逃げる。逃亡の過程で、2人は友情を深めていくのだった。

本書には、新春期の頃に感じる、あの不安や反抗心が本当に鮮やかに描かれていて、心が揺さぶられる。一方的に大人の価値観を押し付けてくる大人のことはもちろん嫌いだが、かといって、「あなたの気持ちはよくわかる」と言って近づいてくる大人も嫌い。そんな思いが滲み出てくる描写に触れるたび、自分がまさに新春期を過ごしている時に、この本に出会えていればなあと思ってしまうのだ。

私が特に好きなのは、逃亡中のカナ達の姿を見て、「楽しそうで、悩み事なんてなくて」と形容した20歳くらいの女性に対して、白雪が「15歳だったときの自分に」謝るようにと詰め寄る場面だ。人間誰しも、今が大変で辛いと思ってしまうもので、あの頃の苦しみも、やがては薄れてしまう。カナ達は誓う。あの頃の自分の感性を忘れることなく生きていこうと。これは15歳の決意であると同時に、大人に対する「あの頃を忘れないで」というメッセージでもあると捉えている。
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