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# 『京王線・井の頭線沿線の不思議と謎』
2015/10/08 07:22
京王線・井の頭線沿線の不思議と謎 岡島建 監修 じっぴコンパクト新書 2015年



新宿を起点として、東京都の西部へ伸びていく京王線と、渋谷を起点として吉祥寺まで走る井の頭線。本書は、これらの沿線の名所を紹介したり、沿線の歴史、駅名の謎などを解き明かしていく。また、昔考えられていた京王線の延伸計画についても触れられていて、「なるほど」と思える情報に富んでいる。

私自身、生まれてから就職するまでずっと京王線沿線で育った生粋の京王線ユーザーであっただけに、本書の発売は待望であった。「はじめに」で監修者が語っている、「地味」や「堅実」といった言葉が京王線の印象として納得できる。沿線にはあまり派手な施設があるわけでもなく、主に沿線住民を都市部に運ぶという役割を担っているに過ぎない。それでも、かつて運賃に上乗せしていた工事費を返還するために運賃の値下げを行ったことや、いまだ特急料金が別に必要な列車を運行していないことも(今後そのような計画があると聞いているが)、庶民に対して堅実な鉄道である証である…うっかり本書に書かれていないことまで触れてしまったが、思い入れの強さとしてご容赦いただきたい。
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# 『野球×統計は最強のバッテリーである セイバーメトリクスとトラッキングの世界』
2015/10/07 21:22
野球×統計は最強のバッテリーである セイバーメトリクスとトラッキングの世界 データスタジアム株式会社 中公新書ラクレ 2015年



野球は投手、打者、野手など、個人の役割が他のスポーツに比べて明確であるがゆえに、多くのデータマニアを生んできた。数値を使って選手や球団を評価し、特に球団の運営方針や選手の獲得、育成に活かそうという分野がセイバーメトリクスである。野球の素人でも聞いたことのある「打率」や「打点」といった指標は、選手の能力を評価するのに十分な数値とは言えないという意見が徐々に出されるようになり、セイバーメトリクスの世界においては能力をより正確に測るための数値が開発されてきた。本書は、近年よく用いられるようになった「出塁率」や「長打率」その他の数値の計算式や考え方について、わかりやすく解説してくれるセイバーメトリクスの入門書である。なぜそのような数値があるのかに関する背景知識も交えて解説されるので、興味が増す。本書が書かれた時点では、セリーグで得失点差がマイナスの阪神が首位という(セイバーメトリクスの観点では)珍事が起こっていた。実はここで述べられていることを基に考えると、今年のヤクルト優勝も理に適っている。

また、後半では選手やボールの動きを追う「トラッキング」という手法が持つ今後の可能性について座談会形式で語られる。野球の見方すら変えてしまうのではないかと思えるくらい、トラッキングの持つ威力は大きい。ストレートのキレや伸びといった、かつてはなかなか言語化するのが難しかった現象も、トラッキングを応用すれば、言葉で説明できるようになる。セイバーメトリクスの可能性を感じられる1冊だ。

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# 『新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動』
2015/09/21 20:09
新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動 原田曜平 朝日新書 2015年



メディアにおけるオタクイメージとは異なり、現在の若者(10代から20代)には、おしゃれでコミュニケーション力に長けて恋人までいる「リア充オタク」なる人々も出現している。また、若者の消費低迷が言われて久しいことを表すように、1人1人のオタク商品に対する消費額は減っている一方で、全体としてオタク市場は急成長している産業である。すなわち、これまでよりも多くの人がオタクになれる条件が整い、さらにオタク文化を気軽に楽しむ層まで出現しているのだ。本書の副題が示すように、現在オタクの世界には地殻大変動が起きている。

オタクの世代比較や、現代のオタクの実態調査に基づいたオタク論は、実際のところ私の肌感覚とも合っている部分もあり、納得がいった。さらに、本書で提案されている、現状に合ったサービスを生み出すビジネス戦略いかんによっては、まだまだ成熟しきっていない市場に好機を見出す企業も出てくるであろう。文化面、経済面の双方において知的好奇心を刺激される、読み応えのある本である。

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# 『若手社員が育たない。―「ゆとり世代」以降の人材育成論 』
2015/09/09 15:30
若手社員が育たない。―「ゆとり世代」以降の人材育成論  豊田 義博 ちくま新書 2015年



現在の新入社員は、「ゆとり世代」と括られ、真面目であるが戦力にはならないと嘆かれていることも多いという。あるいは、就職活動時には優秀であると評価されながらも、入社後に不適応に悩む社員も多いらしい。これは、決してその年代の若者の問題というわけではなく、そもそも日本の職場環境が悪化し、若者を育てる社会システムが崩壊していることによるというのが本書の主張である。ならば、人材を育て、組織の劣化を防ぐためには、今後どのような社会の姿が求められるのか。

本書が語る、ポテンシャル採用の後に社内で新入社員を教育していくというかつての職場が崩壊し、人材育成が劣化した様子はかなり納得のいくものである。通信手段が電話からメールへと移行していけば、先輩のしゃべりに耳を傾けて参考にする機会は奪われ、個人情報保護が厳しくなれば、机の上に散乱した書類をふと見ることもない。管理職がプレイング・マネージャーと化してしまえば、管理職の多忙さは以前とは比べものにならない。そのような状態では、若手は以前と同じような規模の教育を受けるのが困難であり、見よう見まねで行う学習さえも十分な機会が用意されない。

本書では、成長の鍵は勉強会や大学での学びにあると結論する。就職活動の現状について語った本でもよく見られるが、社会人として成長するためには、異質な他者との交流が大切であることが多い。現在考えられる、学びの場を提供できる組織が、勉強会や大学のゼミであるというのだ。ごく少数のエリートであれば、自ら世界を広げるだけの力を持っているだろうが、圧倒的多数を占める「ごく普通の」人間が学びの場を得ていくには、確かにこの辺りが最良の場と考えられそうだ。

もちろん、筆者は企業そのものが変わっていくという解決策も視野に入れている。大卒人口が増加し、もはや一握りのエリートではなくなった今、欧米で見られるような職種別の専門に従った採用を実施し、「どこへでも行きます。何でもやります」が一般的な雇用形態は幹部候補のみにしていくという提案は、迷える若者を救う手段となるであろう。

社会に大きな変革をもたらす提案も多いが、下手な経済政策より長期的でいて有効な視座を持っているように思う。ゆとり世代の1年上である私にとっては、未来が見えにくい世の中の現状打破へ向けた希望を感じる1冊であった。

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# 『英語学習は早いほど良いのか』
2015/09/06 20:29
英語学習は早いほど良いのか バトラー後藤裕子 岩波新書 2015年



日本をはじめとした東アジア圏で、どこまでも過熱していくように思える英語教育。日本でも、小学校での英語が必修化され、高校の英語の授業は英語で行うことが基本とされ、スーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)の指定という取り組みも始まり、英語英語と叫ばれる世の中になったと非常に強く感じられる。それでは、第二言語習得理論に関する実践的な研究成果に鑑みたとき、現在の取り組みはどのような意味を持っているのだろうか。

ともすると、英語教育は実践研究の成果云々ではなく、理念優先で語られることが多い。例えば、子どもが言語を獲得する過程を考えたら、英語は英語で教えるべきだという意見や、文法の重要性を訴えて、訳読形式の授業こそ最良の方法と主張する意見などだ。前者に対しては、子どもの言語獲得の環境をそのまま外国語学習に応用可能なのか。後者に対しては、訳読形式において、アウトプットの練習はどうするのか。そういった疑問が浮かぶ。また、果たして様々な授業形式に対して、どのような効果がどれだけあったのか、検証されていることはあまりないように思う。

本書が取り扱うのは、このような具体的な授業方法に関することではないが、実証的な立場からわかっていること、わかっていないことを取り上げて、外国語教育研究の現状がまとめられているのは、大いに参考になる。音声の習得1つとっても、各研究で用いられた手続きを細かく批判的に検討すれば、まだまだ確実なことは少ないのだな、というのが正直なところの感想である。また、他のヨーロッパ語と比べて、日本語は英語との違いの多く、日本は外に出れば自然と英語が聞こえてくる環境でもない。欧米での第二言語習得研究をどこまで日本に応用できるかすらも定かではない。現在わかっていることを基にした筆者なりの見解も併せて、言語教育の政策立案に関わる人々をはじめ、英語教育に躍起になっている人々にも広く目を通してもらいたい。

「自分は何年間も英語を勉強してきたのに一向に英語が喋れなかった。だから、日本の英語教育は変えるべきだ。」などという意見が平気でまかり通ってしまうのが、今の日本のように思える。同じロジックで、音楽、スポーツ、数学などの教育について語る人がいるだろうかと考えると、いかに英語教育に関する議論が感情的で個人的な意見に大きく左右されたものであるかがわかる。ここで1度冷静な視点で英語教育について考えてみることが、結果的に日本の英語教育の進むべき道を模索するヒントになるのではないだろうか。

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# 『京急沿線の不思議と謎』
2015/08/16 13:13
京急沿線の不思議と謎 岡田直 監修 じっぴコンパクト新書 2015年



川崎大師への観光客の輸送を目的としたことから始まり、京浜工業地帯の発展とともに成長し、神奈川県の三浦半島開発の推進力となってきた京浜急行。その歴史を紐解くと、相次ぐ駅舎の移動や軌条の変更に直面し、苦労してきた過程がよくわかる。特に、川崎や横浜といった神奈川県の大都市に京急の駅を作るに当たっては様々な紆余曲折があったとわかった。また、横須賀という関東地方の中では類稀なほどに米軍関連の施設が置かれた地域を通る路線ゆえの特殊事情などもわかって面白い。米軍関係者用の出入口を持った駅など、なかなか見られないと思う。

その他、駅名の謎や、沿線の観光地案内も含めた豆知識が満載で、読めばちょっと得した気分になれる1冊だ。


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# 『OB・現役学生なら知っておきたい大学の真実 青山学院大学の「今」を読む』
2015/07/31 21:33
OB・現役学生なら知っておきたい大学の真実 青山学院大学の「今」を読む 造事務所 じっぴコンパクト新書 2015年



おしゃれ、お金持ちといったイメージが付きまとうのが、青山学院大学の特徴であろう。その一方で、2015年箱根駅伝の優勝など、スポーツも決して弱いわけではない。付属校の実態も含めて青学の情報をまとめたのが本書である。

読んでみてわかるのは、やはりイメージ通りの部分もあれば、それほどでもない部分もあるといったところか。付属校の派手さはやはり想像の通りであるし、その付属上がりの学生達が、青学の典型的なイメージを作り上げているのが現実である。しかし、中高大と進むにつれ、学費の高さはそれほどでもなくなることから、庶民的な生徒もいるのであろう。

ただ、キリスト教に基づいた自由な校風は青山学院を支えている大事な要素であり、それゆえの良さが学内に浸透しているということは事実であろう。ここまで一貫した校風を維持している学校は、やはり魅力的だと思わずにはいられなかった。

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# 『OB・現役学生なら知っておきたい大学の真実 明治大学の「今」を読む』
2015/07/13 22:00
OB・現役学生なら知っておきたい大学の真実 明治大学の「今」を読む 造事務所編 じっぴコンパクト新書 2015年



近年確実に人気を上昇させている明治大学について、その歴史、社会との関係、学部概要、部活紹介、付属校の様子などの情報を紐解いていく本。卒業生や在校生でなくても楽しめるちょっとした小ネタが魅力的である。民法典論争での敗北や、スポーツ界をリードする姿など、意外と知らない情報が多く、楽しめた。次々と変わりゆく大学の現状を知りたいならば、読んで損はない。

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# 『増補 オオカミ少女はいなかった スキャンダラスな心理学』
2015/06/22 21:51
増補 オオカミ少女はいなかった スキャンダラスな心理学 鈴木 光太郎 ちくま文庫 2015年



心理学ほど、実際に研究に携わっている人間とその他の人間との間でイメージの異なる学問も少ないかもしれない。特に、オカルト的なものや神秘主義的なものもまとめて心理学に入れられてしまう風潮は、心理学がどことなく胡散臭いものとなるのに一役買っているように思える。本書は、実験心理学の専門家がこのような心理学について回る怪しいイメージや似非科学的な認識を打破しようと試みたものである。多くの人が1度は耳にしたであろうオオカミ少女の話やサブリミナル効果などの話をめぐって、実際のところ心理学ではどこまでがわかっていて、どこからが実証できていない領域なのか、慎重な考察が行われる。そして、もはや神話化した話題のおかしな点が次々と暴かれていく。その謎解きにも似た試みに、わくわくしてしまう。

本書を読んでいくと随所で感じられるのが、人間の弱さである。ある考えにとらわれてしまい、自説に都合の悪い結果がなかなか見えにくくなってしまったり、自らの権威を守ろうと、データの捏造に走ってしまったりと、心理学の世界に蔓延る神話の裏には、ほとんどの場合人間臭い感情がある。皮肉なことに、人間の思考の癖を探ったり、非社会的な行動の源を探ろうとする学問が、自ら人間の感情の海に溺れてしまい、どこか怪しい学問という印象を人々に抱かせてきてしまったようだ。

筆者が繰り返し述べているように、他人が述べていることを鵜呑みにせずに、原典に当たってみる苦労を厭わず、研究の手法について妥当かどうか常に考えるという地道な作業こそが科学的な営みの基本であり、ひいては学問に携わる者の義務なのであろう。

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# 『残念な教員 学校教育の失敗学』
2015/04/24 16:46
残念な教員 学校教育の失敗学 林純次 光文社新書 2015年



本書における「残念な教員」とは、決してお茶の間を騒がせている暴力教員や破廉恥教員ではなく、授業がきちんとできなかったり、生徒を成長させるという使命感に欠けていたり、生徒とのコミュニケーションがきちんと取れない教員のことを指す。筆者によれば、そのような教員は全体の8割を超えており、非常に憂慮すべき問題である。本書では、このような事態を打開するための方法や、教員が持つべき心掛けが述べられる。

現職の教員にとってはとても耳の痛くなる、それでいて本質を突いた内容である。授業や生徒指導ができなくても、教員という特権的な立場を武器にして教育の現場に居座り、教育に対する不信感を抱かせてしまうような教員の姿の描写は、学校という場に少しでも身を置いたものであれば心当たりがあるのではないだろうか。筆者は、一般企業に勤務した後、約10年間の教員経験を積んでいて、教員として必要な心構えについて厳しい視点から指摘し、現場の教員の奮起を促している。美談を語るだけでなく、実際に高い理想に向かって日々努力を惜しまない筆者の姿勢に感化される教員は多いはずである。板書やプリント作り、課題返却に至るまで、プロとして何を考えどう実践するべきなのか考えさせられる話題も多い。

しかし、本書は教員の意識向上のみを解決策とはしない。そもそも教員という職は教室という閉鎖的な空間を活動の場とするゆえに、お互いの姿が見えにくい。これは、問題教員の検出に不具合をきたすだけでなく、意識のある教員が優秀な教員から学び取るという機会も減らしてしまう。教員が成長する場をどう確保するかという構造的な問題についても言及しているのは、さすが現職教員によって書かれた本の為せる業であるように思う。

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