すべての婚活やってみました 石神賢介 小学館101新書 2013年
著者は、30代でバツイチになった、フリーランスのライター。以後婚活を試みるが、失敗は続き、ついに50代を迎えてしまった。本書は、著者の数々の失敗談と、交際まではたどり着いた成功談を基に、婚活のツール活用法や、活用時の注意点までがまとめられた本である。
本書を読むと滲み出てくるのが、婚活の難しさだ。結局のところ、婚活を必要としている人々は、何らかの点でパートナー探しに難を抱えていたり、交際がうまくいかないからこそ、婚活に頼らざるを得ない面があるからだ。そんな男女が互いに結婚に結びつく関係を構築しようというのだから、円滑に進むことなどまずない。カバーの案内には「抱腹絶倒のエピソード」と書いてあるが、おそらく本書の記述を笑い飛ばせるのは、婚活など必要としたことのないほど出会いや男女交際に困ったことのない人か、著者の行動があまりに自分と重なりすぎて、思わず自虐も込めたおかしさを感じられる人だけではないだろうか。今まさに切実な思いでいる人にとっては、それほど笑えないのではと思ってしまう(もちろん、著者はプロの物書きなので、所々に見られる、婚活スタッフへの皮肉を込めた描写などには心から笑える)。
婚活は、社会問題の縮図である。多くの結婚適齢期の人々が結婚しなかったり、できなかったりなのは、雇用の問題、社会保障の問題など、現代社会の諸問題が影響している面は大きい。本書は、別に問題の解決を目的に書かれたものではないが、婚活の現状を知ることを通して、現代社会を見る目を養うことができると思う。
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