2025/01/22 13:34
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2015/12/29 16:23
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攻撃的サッカー 0トップ型4-3-3の時代 杉山茂樹 PHP新書 2015年 2014年のW杯で予選敗退となり、ザッケローニ監督の解任、更にはアギーレ監督の解任という監督交代劇を繰り広げ、迷走する日本のサッカー。本書は日本サッカーの根本的な問題点に「FWの決定力不足」という一般論とは異なる、布陣という視点で切り込んでいったものである。 筆者によれば、日本のサッカーは布陣の面でははるか昔の様相を呈している。メディアなどで公開される先発布陣は、流行りの4-2-3-1や4-3-3であっても、その布陣としてのサッカーをするのではなく、中央に人が寄った単調なものになってしまう。攻撃といえば、相手ディフェンスが蔓延る中央を突破するしか能のない強者の戦術、かつシュートに高度な技術を必要とする方法しかない。対して、世界の強豪クラブやW杯の上位国はというと、日本とは全く逆にサイド攻撃を重視し、ペナルティーエリア付近から鋭角の折り返しパスを出してシュートに結び付けるという、決定力の必要ないゴールを生み出す戦術を採用しているというのだ。筆者はそれを「0トップ型4-3-3」と名付け、今のところ決定的な弱点のない布陣であるとまで言う。 このような世界的にはブームとなっている「0トップ型4-3-3」布陣を支えているのは、各選手の戦術理解と、ポジションに求められる役割をきちんとこなす規律である。つい中央に寄ってしまうスター選手など、布陣の中の1人としての役割を果たさない選手に対しては、監督は戦術面の理解を促して厳しく修正を迫る。その中で、各選手は自らの役割を見出していくのだ。なるほど、これでは日本のサッカーは敵わない。筆者がかつて『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』で主張していたように、日本のサッカーはあくまで布陣ではなく選手のキャラクターによって戦術を組み立てていく伝統が深く根付いている。こんなことではいつまでも布陣に必要な選手を育てるという発想が生まれるわけがない。 思えば、W杯で最高の結果を残した南アフリカ大会は、直前になって監督が「0トップ型4-3-3」を採用し、戦術変更に伴って急遽レギュラーメンバーとなった選手達が、その布陣の中で自ら求められる役割を果たそうとしたからこそ、うまくいったのかもしれない。確かに結果論ではあるのだが、そう思わずにはいられない。日本サッカーが進歩するためには何が必要か。真剣に考えなければ、これ以上の進歩は見込めないように思う。 PR |
2010/10/27 10:02
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日本サッカー現場検証 あの0トップを読み解く 杉山茂樹 じっぴコンパクト新書 2010年 ワールドカップ南アフリカ大会、日本は大方の予想を裏切り、世界を驚かせる番狂わせを演じて、決勝トーナメント進出を決めた。岡田監督については、更迭論まで噴出していたにも関わらず、一挙に支持率が上がった。著者の南アフリカワールドカップ体験記に乗せて、岡田ジャパンの戦術に迫る。 著者は、サッカーの戦術に関する本を多く出している。以前、本ブログでも、『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』という本を取り上げた。メディアで一般に報道される「攻撃サッカー」などの言葉に疑問を呈し、過去に観客を沸かせた戦術を引用しながら独自の視点でサッカー解説を行うのが特徴。 本書でも、その姿勢は変わらない。「本田の1トップ」「中盤の3ボランチ」「守備的な布陣への変更」といったメディアの報道が実態に則していないと批判し、「主力の不振」といった岡田監督自身の言葉についても、納得しない様子。 著者が最も力点を入れているのは、事実上「0トップ」になったという布陣の解説だ。著者は、今までずっとストライカーの不足が嘆かれている日本の場合、攻撃的MFの力をうまく利用する「0トップ」という布陣が向いているということを提唱してきたという。日本の躍進は、偶然なのか、狙ってなのかはわからないものの、この戦術が奏功した結果だという。本田・香川・宇佐美といった、FWとMFの中間とも言えるような選手が次々と台頭してきた中、この戦術は現実味を帯びているかもしれない。Jリーグの現状では、ウィングの選手が育ちにくいことや、そもそもフォーメーションという概念自体定着しにくいという指摘にも納得。 「アフリカ勢が勝てない理由は情緒不安定だから」といった、鵜呑みにはできないような記述もあるが、本書をもとに、また新たな視点で日本代表やJリーグの試合を観戦してみると、思わぬ発見がありそうなのは事実だ。実際に試合会場に足を運びたくなる気持ちになる本だ。 |
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