大学受験勉強法 受かるのはどっち? 笠見未央 角川書店 2016年
大学受験は、それを経験する者にとっては、とても大きく感情を揺さぶるものである。受験生時代の苦労や喜び、不安、挫折感に、受験後も付いてまわる学歴社会など、生々しい感情とともに語られることが多い。それだけに、カリスマ性を持った教師がもてはやされ、大逆転物語から大きなカタルシスを得る受験生や大人がいて、受かる勉強法や教育法は大々的に取り上げられる。
しかし、ここで1度冷静な目で受験勉強法を見つめ直してみるのも良いのではないか。大学受験に関しては、様々なところで別々の勉強法が勧められていることが多く、迷う受験生や指導者がいるのは容易に考えられる。そこで、本書のように時に両極端とも言える勉強法を示し、自分のタイプや目標に応じて優れた点を取捨選択していく助けになる本の存在意義がある。スケジュールの立て方や各教科の勉強法といったオーソドックスな疑問から、受験生はTwitterをやっても良いのか、逆転合格に才能の差は影響するかなど、受験生としてはぜひ知りたいと思える論点が満載である。
一部、筆者のきわめて個人的な体験から勝負の判定が決められている、惜しいとしか言いようのない項目もあるが、多くは参考になる分析がなされている。また、最新の参考書や受験勉強法の研究に余念のない人たちの議論なので、現代の受験生にとって非常に有益な情報に富んでいる。勉強に迷ったら、一読の価値ある本であろう。
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