言語の社会心理学 伝えたいことは伝わるのか 岡本真一郎 中公新書 2013年
言語を用いたコミュニケーションについて、語用論や心理学の立場から論じた本。非言語コミュニケーションや敬語の使用など、話題は多岐にわたる。
伝えたいと意図していることが、いつも伝わるとは限らない。では、なぜコミュニケーションに失敗するのか。その原因について多角的に論じているのが本書である。タイトルの通り、一応はことばの社会心理学をうたっているのだが、実際には言語学やコミュニケーションの理論にも触れながら、言語を用いたコミュニケーションの本質に迫ろうという内容である。敬語や皮肉など、言語学的な研究が多くありそうな分野でも、コミュニケーション学や心理学の領域からの分析が加わるだけで、違った視点を得られる。特に、伝える方は実際よりも相手に自分の意図が伝わっていると思いがちであるという実験結果は興味深い。
著者は研究で得られた成果をミスコミュニケーションの問題に応用しようという姿勢が強く、心理学的な研究の応用可能性についても考えさせられた。
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