就活のコノヤロー 石渡嶺司 光文社新書 2013年
前著『就活のバカヤロー』から6年の歳月が過ぎた。その間、大学生の就職活動をめぐる状況に変化は訪れたのだろうか。以前と同じく、学生・企業・大学・就職情報サイトの立場からの現状をリポートした本。
本書を読んでみると、現状としてはさほど変化していないのではないかという感想を持った。しかし、じわりじわりと変化してきている部分もある。例えば、就職活動の後ろ倒しに関する議論は今後も当事者にとっては見過ごせない大きな問題であろう。歴史的背景も踏まえた解説によって、就活開始時期を設定することの難しさがよくわかる。グローバル人材に対する関心の高まりも、この6年間での変化といえるであろう。
また、良い方向への変化もある。「バカヤロー」と叫びたくなるような状況だった6年前から、工夫を重ねて採用活動に成功している企業もある。自らの特性をうまく利用して成功する学生もいる。本書の随所で触れられているように、世間の不条理さに負けずに戦い抜いていくのが、成功の秘訣なのか。
相変わらず、明確な答えがない中もがき続けるしかないのが就職活動なのであろう。序章の就活生分類や女子学生の就活状況に関する記述からしても、いかにも優秀だからプラスになるだけではなく、社風に合うかなど、直感的な要素も就活に影響してくる。それが社会の厳しさだからと言っていては、馬鹿らしくもある現状の解決にならないのは事実だが、そのような不条理で不透明な世界だからこそ、見事に滑り込んで内定を得る面白さもある。皆にとって、就職活動は人生そのものを象徴しているのかもしれない。
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