女子読みのススメ 貴戸理恵 岩波ジュニア新書 2013年
若手の女性の書き手による、女性が主人公の小説を、女性の目線で読み解くことをテーマにした本。特に、思春期の生きづらさに焦点が当てられていて、行き場のない思いに悩む者に生きるヒントを与えてくれそうな小説を紹介してくれる。
多感な思春期には、大人や社会に反感を抱いたり、絶望的なまでの孤独感に苛まれたりすることが多々ある。そんな時に支えとなってくれるのが、自らと同じ気持ちを発信している歌であり、ブログであり、小説であるのではないだろうか。一般に、中高生に対しては名作との誉れの高い古典的な純文学を読むことが奨励され、友情に感動した、表現に感動しただとか、何かしらの感動を強要されることがあるように思う。本作で取り上げられる小説は、必ずしも学校の先生が胸を張って薦めるような類の作品ではないかもしれないが、その分思春期の悩める世代にとってはまたとない大きな出会いとなる可能性を秘めた作品ばかりだ。
思春期を生きる中高生よ、真面目な大人が薦めてくる本にうんざりして、読書嫌いになってしまったのなら、是非本書を手に取り、取り上げられている小説を読んでみてはどうだろうか。本を読む素晴らしさを感じられると思う。
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