英語が面白くなる 東大のディープな英語 佐藤ヒロシ 中経出版 2013年
東大の英語入試問題は、誰も知らないような単語や文法のマニアックな知識を試すのではなく、基礎的な力がどれだけ使える形で身に付いているかを確認するものである。本書を読むと、そのようなことを痛感せざるを得ない。筆者は長年予備校で東大英語を教えてきた実績があり、設問に対するアプローチが深い。特に、筆者はたった1問の何気なく見える問題であっても、その背景に隠された出題意図を鋭く分析する。東大で過去にどんな問題が出題されたかという歴史的な視点を加味することで、東大が同じテーマを繰り返し出題していることがわかるし、他大学の問題と比較することで、東大が問わんとしていることが見えてくる。
「受験問題はまるでパズルのようで、英語力を試していない悪問だ」と批判する者は少なからずいるが、そんな人にこそ本書を読んでもらい、入試問題の英語が本来持つ面白さを実感してもらいたい。大学入試問題の良問とは、無味乾燥なパズルなどではないことがよくわかるはずだ。
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