AIの衝撃 人工知能は人類の敵か 小林雅一 講談社現代新書 2015年
機械=単純作業と計算の優れているが、融通が利かず複雑な思考はできない
人間=柔軟性に富み、複雑な思考が可能である
このような二項対立的な図式は既に過去のものとなり、コンピュータの進化が人間の雇用や生存まで脅かす可能性が議論される時代に突入しようとしているが、現状である。本書は、最新のAI技術のしくみや、それが今後の社会にどのような影響を与えているのかについて扱ったものである。最新のAI搭載ロボットは、もはやNHKの「ロボコン」に登場するようなものではない。お掃除ロボットに代表されるように、人間が操作せずとも「自ら考え」行動する力を身につけているのだ。
機械学習の研究が進んだ今、画像認識の技術は格段に向上し、その成果は自動運転車の導入を待つレベルにまで来ている。また、グーグルなどが一刻を争って進めているIoT (Internet of Things)など、私たちの生活の行動を記録したデータを収集し、AIが勝手にデータ分析を進め、それを商機に活かすというビジネスモデルが生まれてきている。
これまでの常識を超えた事態に対して社会はどのように向き合っていくべきなのか、容易に答えは出そうにない。しかし、少なくともこれらの知識を持ったうえで今後の動向を見守ることは大切であると思う。
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