最下層女子校生 無関心社会の罪 橘ジュン 小学館新書 2016年
精神的、肉体的虐待に性的虐待、教育虐待、いじめ、そしてそれらの結果として生じる貧困状態… 10代や20代の女子が抱える生きづらい現実についてまとめたルポルタージュ。
いつの時代も、社会のゆがみや矛盾は弱い者のところにしわ寄せとなって現れる。本書で紹介される若い女性も、皆そのような社会の中で苦しい立場に押し込められた人である。各々のケースについて読み進めていくと、「なぜこのようなことに」という衝撃と怒りを感じられずにはいられない。
また、このような女子の受け皿となっている児童相談所、自立支援ホーム、婦人保護施設の現状がまとめられているが、このような施設に対する支援は手薄で、婦人保護施設に至っては拠りどころとなる法律が60年間ずっと変わっていないという有り様である。施設で働いている方々は、何とかしたいという切実なる思いで仕事に向かっているのだが、それだけでは限界を感じる。
ラストには、著者と漫画家、沖田×華の対談がある。沖田氏は、これまた本書に登場する女子達に引けを取らないほどに苦しい人生を歩んできたにも関わらず、その境遇をしたたかに乗り越えてきた。その強さに圧倒されるばかりだ。今苦しんでいる女子が真似できる生き方とは言えないが、苦しみからどう抜け出そうとするか、どう考えて生きるか、そして生き抜いた先に何が待っているか、といった問いに対する1つの答えを示してくれているように思う。
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