就職力で見抜く!沈む大学 伸びる大学 木村誠 朝日新書 2014年
大学選びにおいて、就職力という視点は今や欠かせないものになっている。低成長の時代だからこそ、そんな現状に適応しようと奮闘した大学が、2000年代前半までの就職氷河期以降、急速に就職率を伸ばしている。本書は、そのような旬の大学を紹介し、大学を見る目を養ってもらおうというものである。ごく簡単にではあるが、就職率を伸ばした上位100校の取り組み例が案内されていて、興味深い。
また、最終章では離職率などの問題に触れ、卒業生の受け入れ先である企業の実態を示し、安易に数値を鵜呑みにして情報に飲まれないように注意を促している。大学は現在就職率に拘っているわけだが、世間が表面的な数値に囚われる限りは、大学も表面的な数値の獲得に勤しむことになる。しかし、これでは就職活動、ひいては働くことの本質を見失ってしまうのではないだろうか。本書は大学生の就職に関する実態を知る意味でも役に立つ。特に、女子大の就職状況に関する分析や、業種ごとの離職率の捉え方は、なるほどという点が多々あった。
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