「教える技術」の鍛え方」 人も自分も成長できる 樋口裕一 筑摩書房 2009年
学校教育の場に限らず、教えるという行為の難しさに直面する場合は案外多い。どうすれば良い教師になれるのかという疑問に対して、長年予備校で教壇に立ってきた著者なりの解答を示した本。
少人数を教えるための技術から、大人数を教える場合の注意点まで、幅広くまとめられていて、多くの人にとって参考になるであろう。また、説明の方法だけでなく、相手が学ぼうとする意欲を引き出すための方法についても語られていて、本当の意味での教師になるにはどうすれば良いのか、考えるための材料が充実している。筆者自身の失敗例も紹介されているので、まずい場合をしっかりと実感しながら、自分の方法を確立する術が提供されているのも良い(実は、失敗談を示すこと自体、筆者が持つ教える技術の1つなのだ)。
大人数を教える場合には、照準の設定やクラスのコントロールなど、ある程度教える側が注意しないといけないことがある。最終的に良い結果を得るために、厳しく接さなければならない局面もあろう。そんな面についても触れている点でも良書と言える。
PR