オタク女子研究 腐女子思想大系 杉浦由美子 原書房 2006年
オタクと言えば、秋葉原、そしてそこに集まる熱狂的な男性を連想する人が多いが、それに負けずとも劣らない一大勢力を誇っているのが女性のオタク、腐女子である。しかし、女性のオタクは男性のオタクと比べてメディアへの露出が少なかったり、一見してわかるような見た目をしているわけでもない。普通に働いて普通に恋愛もする女性オタクの実態に迫った本。
男性との比較の中で浮き彫りになる女性オタクの生活、思想が見えてくる点が興味深い。現実の女性に幻滅して2次元の世界に走る男性オタクに比べて、女性の場合は萌えと恋愛は別腹と考えるという。また、女性の場合、仕事をする以上は一定水準以上のおしゃれを求められるがゆえに、極端にダサい恰好はできず、見た目からしてオタクっぽいと思わせる人はいないそうだ。なるほどなと思った。そして、腐女子を語る上では避けられない話題である性や恋愛に関する鋭い分析眼にはうならされる。
活字好きで教養豊かな面や、恋愛至上主義に異を唱える姿勢など、腐女子の実態をある意味魅力的に描いた本書から得られる新たな視点は多い。
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