ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか 川合伸幸 講談社現代新書 2015年
人間の攻撃性について、これまでに蓄積されてきた心理学分野の実証的な研究を概観し、人間の本性とは何かを探る本。メディアを通して暴力に触れることの影響、闘争遺伝子の真実、性差から互恵行動に至るまで、人間の攻撃性について様々な考察がめぐらされる。
古くから知られる実験から、最新の脳科学的な手法を用いた研究、進化心理学からの知見まで紹介されていて、これまで心理学の分野が攻撃性についてどのような研究を行ってきたかが概観できる。
人間は最近になって、凶悪事件を引き起こすなど、ますます暴力的になっているという見方がなされることはあるが、筆者の見解では、そのようなデータはなく、むしろ人間の世界は平和な方向に向かっていると考えられるそうだ。まさに、人間性とは何かについて考える材料に満ちた本である。
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