2025/04/22 00:07
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2010/09/06 10:30
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小説版E'S(2) E'S Unknown Kingdom 結賀さとる エニックス 2000年 世界の中で支配力を増す巨大企業「アシュラム」の任務中に事故に遭ったところ、戒は勇基と明日香に助けられる。居候する戒は、勇基とともに仕事に出掛けることに。しかし、その仕事には思わぬ秘密が隠されていた。しかも、明日香が2人について来てしまい、ますます危険な状況に。過去に閉鎖された地下の工場で繰り広げられるサスペンス。 小説版の『E'S』第2弾。今回は、ガルドで暮らす3人に焦点が当てられる。3人が向かった先は、かつての軍事工場。そこで、3人は、アンドリューというロボットに出会う。人間対超能力者という対立が漫画版の大きなテーマになっているのに対して、小説版の第2弾では、そこに人工知能を搭載したロボットという新たな対立項を入れることによって、生命とは何か、人間とその他のものの境界線はどこにあるのかという問いに深みが増すようになっている。 エピローグでは、コミカルなやり取りもあり、『E'S』の世界を存分に楽しめるようになっている。 ◇過去の記事◇ 『E'S The Time to Baptisma』 PR |
2010/08/28 00:14
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訴えてやる!大賞 本当にあった仰天裁判73 ランディ・カッシンガム 鬼澤忍訳 ハヤカワ文庫 2006年 訴訟社会、アメリカ。人々は、些細なことで訴訟を起こし、被告から多額の賠償金が支払われる。都市伝説などではなく、実例を紹介し、アメリカ社会の裁判のあり方を問うた作品。 今や訴訟の濫用が起こっていると主張する筆者。その根拠を挙げるべく、実際の裁判例を探し(それは、苦労せずとも見つかったらしい)、紹介する。呆れる事例、思わず笑ってしまう事例、などなど。ファースト・フード店が、注意せずに自分に対して商品を売り続けたから肥満になったと訴える男性、クレジットカード会社から、たった18セントを巡って訴えられた女性、薬の副作用に対して賠償が認められたのに乗じて、虚偽の申請をする男… しかし、笑って済ませてはいけないというのが、筆者の最も強調したいところ。訴訟の濫用によって、本当に重大な事件の裁判手続きが遅れたり、必要な人に必要な額の賠償が為されなかったりと、被害は大きいというのだ。また、各企業が、訴訟のリスクを恐れれば、その分商品の値段を上げざるを得ないであろうし、いつ訴訟が起きてもおかしくない状況では、月々の保険料も値上がりする一方になる。もちろん、連邦や州が設置した裁判所で取られる正式な手続きには、市民の血税が用いられている。他人事ではなく、結局は一般大衆がどうしようもない裁判の負担を背負うことになるのだ。筆者によると、2002年現在、アメリカGDPの2.33%が民事訴訟に使われているという。 本書で扱われている73例の中には、読者が読んでみて、それほど馬鹿げたという印象を受けないものもあると思う。単なる呆れる訴訟と言って片付けてしまうにしては、難しい問題もある。個人の価値観や思想が大きく反映される問題だからこそ、片やくだらないと笑われる裁判の裏にも、大真面目で訴えを起こしている原告がいるのだ。 一方、日本はどうだろうか。周知の通り、日本はアメリカほどの訴訟社会ではない。しかし、モンスター・ペアレンツの理不尽な要求に悩まされる学校など、案外訴訟という形は取らなくとも、本書の現状と似たり寄ったりの場面があるとも言える。また、裁判員制度が始まった以上、市民が賠償の決まる場面に居合わせることになる可能性も、無きにしも非ずだ。アメリカの二の舞にならないようにするためにも、本書から得られる教訓は大切にしたい。 |
2010/08/20 14:48
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GOSICK Ⅴ ―ゴシック・ベルゼブブの頭蓋― 桜庭一樹 富士見ミステリー文庫 2005年 夏休みが終わる頃、一弥はいつものようにヴィクトリカを迎えに行くが、彼女は見当たらない。一弥は、ヴィクトリカを探して汽車に乗り、「ベルゼブブの頭蓋」と呼ばれる場所へと向かう。謎の建物の中で立て続けに事件が起こる中、一弥とヴィクトリカは無事学園まで戻ることができるのか。 気丈に振る舞い続けてきたヴィクトリカが、初めて弱さを見せることになる。助けに来た一弥に対し、素直に寂しさを見せる。2人の仲が深まったなと思わせる名シーンだ。 名もなき村の事件以来、物語中に登場しては消え、また現れては姿を消していたブライアン・ロスコー、ヴィクトリカの母に当たるコルデリア・ギャロの秘密がとうとう明かされる。コルデリア・ギャロに至っては、初めてご本人の登場となる。また、ソヴュール国内における、オカルト省と科学アカデミーの対立構造という、重要な設定も詳しく明かされる。 ソヴュール国内の対立には、ヴィクトリカの父、アルベール・ド・ブロワが大いに関わっていて、ヴィクトリカの存在そのものが鍵であった。彼女がこれまで、なぜ世の中の人間に対して時に非常に冷酷な態度を取ってきたのか、なぜ世間を震わせる怪奇事件や心霊現象に極めて懐疑的であったかの謎は、彼女の生い立ちに隠されていたのだ。自分の存在意義について悩むヴィクトリカに対して一弥がかけた言葉は、胸を打つ。 ベルゼブブの頭蓋で起こった事件については、一応の解決を見た。しかし、本当の事件はまだまだこれからだった。不吉な建物を何とかぬけ出した一弥とヴィクトリカが乗り込んだ列車で、再び殺人事件が起こる。真の意味での安らぎが訪れるのは、次作まで待たなければならない。本作はまた、次の物語の序章でもあるのだ。 △過去の記事△ 『GOSICK Ⅱ ―ゴシック・その罪は名もなき―』 『GOSICK Ⅲ ―ゴシック・青い薔薇の下で―』 『GOSICK Ⅳ ―ゴシック・愚者を代弁せよ―』 『GOSICK s Ⅱ ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―』 |
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