2025/02/02 12:10
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
2010/03/16 13:11
|
ネイティヴが教える英語作文の技術 ウェイン・スティアー 江口真理子訳 丸善ライブラリー 1998年 英語の文章を上手に書くにはどうしたら良いのか。本書は、わかりやすく、しかも名文と思わせる英文を書くためのコツを伝授しようとするものである。 タイトルに「英語作文」という表現が含まれているものの、本書の内容は、十分母語にも適用可能なものである。むしろ、日本語の作文教育ではあまり教えられていない内容かもしれない。例えば、風景を描写するときには視点を一定にし、一点から順々に場所を移動するように書くという技術は、言われてみれば当たり前でも、誰かに教わったかというと、定かではない。 その他、やや高度な技術についても取り上げられている。相手を説得する文を書く際のコツなどは、なるほどと思わされる。まず、自分の意見に対する反対意見と賛成意見を交互に出すことがポイント。さらに、反対意見は、説得力のあるものほど前に、賛成意見は説得力のあるものを後に、それぞれ提示すると効果的であるという。なぜなら、読み手にとって、文章の最後は印象が最も強い。その部分に強力な主張が来れば、読者は納得させられやすい。しかも、全体としては反対意見にも耳を傾けているのだから、主張を押し通した独善的な文章には見えない。最後に、自分の賛成意見のみをまとめた要約文で文章を示せば、無意識のうちに、読み手は説得されてしまう。 また、終盤に出てくる、作文ミスのチェック表は、非常にユーモアのある構成。例えば22番、 Needless to say, avoid, you know, useless words (p. 181). ※「不要な言葉は省け」というメッセージを伝えるために、筆者が不要だと指摘する"needless to say"(「言うまでもなく」)や、"you know"(「ほら」「知っての通り」)をわざと含んでいる。 英作文向けなので、もちろん文法についての話もある。しかし、大半は書くための姿勢や、ちょっとした小技の紹介に費やされている。論理的でわかりやすい文章を書く方法が紹介されている本は少なくないが、本書のように、その先にある「名文を書く」という段階まで見据えている本は意外と少ない。もちろん、テクニックを使いすぎて逆に仰々しい文になってしまったり、わかりやすさを犠牲にしてしまっては、本末転倒と言える。それでも、知っておくと便利な知識は多い。 PR |
2009/10/20 13:23
|
理科系のための英文作法 杉原厚吉 中公新書 1994年 どのようにして文法的に正しい1文を書くのかについては、至るところで紹介されている。しかし、個々の文をどう繋げば、誤解のない文章を書くことができるのかについての説明は、あまり見ることがない。往々にして、「多くの文章に接することで身に付けていくべき」という、感覚的な精神論が横行している。それ以外の方法はないのか?これが、本書の掲げるテーマである。筆者は、コンピュータによる自然言語処理の技術を利用し、読みやすい文、誤解のない文の書き方について解説する。 全体的に優れている本である。しかし、最も感心する内容は、階層構造に気を付けて書くという内容である。文章には、階層がある。例えば、トピックセンテンスとそれを支持する具体例、名詞の修飾などが、それにあたる。それをうまく表現しないと、誤解を招く文章になってしまうことがある。では、どうすれば良いのか?本書では、語句の定義の仕方、接続詞・副詞の使い方など、豊富な事例とともに、確実に意味の伝わる英文の書き方が述べられる。このような方法は、文系の作文、さらには日本語の作文にも適用できる また、本書で挙げられている仮説(文の接続関係を明示した方が文章がわかりやすくなるなど)は、自然言語処理・言語心理学のトピックとしても面白い。英語教育の世界では比較的学習者任せにされている分野の重要性を指摘しただけでなく、客観的な視点を取り入れた手法を紹介したという点は、大きな功績と言える。「筋が通った文」とは、結局どんな文のことなのか。この疑問に対する答えは、本書のあらゆる箇所に見つけられる。 本書については、英語ニュースでも取り上げられている。かなり詳しい書評なので、お薦め。 |
2009/09/25 15:30
|
講談 英語の歴史 渡部昇一 PHP新書 2001年 英語の歴史は約1500年と言われている。その中で、英語がどのように変容してきたのか、社会情勢の変化と関連付けながら述べられている。 一般に、英語史は言語自体の変化に重きを置いた視点か、言語を取り巻く環境の変化を重要視する見方か、どちらかで語られることが多い。本書の立場は後者で、イギリスと他のヨーロッパ諸国や民族とのせめぎ合いや、当時の王朝の様子から語られることが多い。 この本の独特な点は、日本語の古文にも精通した筆者が、適宜日本語の例も用いて英語に起こった現象を述べているところである。日本の古文について知っていると、こんなにも英語史を豊かに語ることができるのかと驚かされる。 終章の、筆者の理想とする英語教育・日本語教育の記述には、実は英語史の内容とはまったく関係ない話も多い。また、内容としても好みの分かれるところであろう。 しかし、全体としては、イギリスおよびヨーロッパの歴史と英語というものがいかに関係しあってきたかについてよくわかる、優れた本である。 |
2009/09/23 11:55
|
「英文法」を疑う 松井力也 講談社現代新書 1999年 著者は、本書が出た時点では、現役の英語教師である(現在は不明)。 著者は、英語と日本語はまったく異なった言語であるゆえに、そもそもその発想法には天と地ほどの差があるという視点に立つ。そこから、著者なりの英語理解法が説明されていく。英語と日本語の違いは、その使い手の思想や文化を色濃く反映したものであるとする立場からの記述は、言語と思考がどこまで密接に関わっていて、どこからは独立したものであるのかを考えるための良い材料になろう。 個人的には、前置詞の説明が秀逸であったと思う。例えば、なぜ We will soon make a brief stop at Nagoya. とatを用いるのか。 それから、 The sun rises in the east. とinが使われるのはなぜか。 この答えは、本書の説明で明確になる。 発売したのが前で、絶版になっている可能性が高いので、中古や図書館を検討してみてください。 |
忍者ブログ [PR] |